そうだった……

私の部屋と、千裕の部屋は向かい合った位置にあるから、お互いの部屋へはベランダを容易に越えて行き来できる。



コンコンと窓を叩く千裕の目の前で、ジャッとカーテンを引いた。


「咲、開けろって。まだ話し終わってない」

「もういい!私のことは私が何とかするから!」


「咲!」


千裕の声を遮るようにベッドの中に潜り、頭から布団をかぶる。


名前を呼ぶ声が遠くにしたけれど、直に静かになった。