「い、息。息が、白い・・・」


その不機嫌な態度に少々びくつきながらも、わたしは答える。



「あ?んなもんあたりめぇだろ」



息が白いのが当たり前・・・?
それでは、外に出ると吐いた息は白くなるのだろうか・・・?


「なぜ、家の中では透明なのですか?」


「家の中の温度があったけぇからだろ」



「あったかい・・・?それじゃ、外の温度があったかい時も息は透明になるのですか・・・?」



「当たり前だろ」



(当たり前、か・・・)


わたしは、そんな当たり前の事すら知らない、ただの無能な小娘だ。


一応、英才教育としていろいろなものを学習してきた。


それでも、それでも、外のことだけは、どうしても習えなかった。



だれも、教えてくれなかった。



ダンっ、と着地音が聞こえ、わたしは降ろされる。



「ついたぞ」