恭弥と名乗ったその青年は、かぶっていたニット帽を脱ぐ。
そこから見えたのは、月に照らされキラキラと綺麗に輝く、銀色の髪。
「銀・・・髪・・・・・」
初めて見た、銀色の髪の人に、わたしは好奇心を隠せない。
「・・・・珍しいか?」
コクリ、頷く。
それと同時に、わたしの手が伸びる。
「・・・さわんな」
驚いたことに、初対面の、しかも男性の髪の毛に、わたしはなんのためらいもなく手を伸ばしたようだ。
「ごめん、なさい・・・。あの、それよりも、どうしてわたしの部屋に・・・?」
「俺を知らねぇのか?」
当然、家から一歩も出たことがないのだ。
家の人間しか知るはずもない。
「知らない・・・です」
その青年――恭弥は、驚く。
「・・・まあ、別に知らなくてもいい。オジョーだしな」
