わたしの返事を聞いたあと、静かにわたしの部屋を去っていく圭吾。



それを見届けたあと、再び窓の外に視線を戻す。


実はわたし、京院未華子(きょういんみかこ)はこの屋敷から、一歩も出たことがない。



もう、16歳にもなるのに外の世界を知らない。



外に出るのを、禁じられている。


まるで塔の上のお姫様だ。



・・・あながち間違いではない。
間違っているところといえば、助け出してくれる人がいないってことだけだ。



(・・・もう、寝ようかな・・・)


そう思い、窓から離れた。


―――パリィィィンッ!!


すごい音と共に、窓が割れた。
バッと後ろを振り返る。


そこには、灰色のニット帽をかぶった少年らしき人物が一人、立っていた。


ウウウゥゥゥ!!


警報がなる。