海水に濡れたままの女の骸を
紫暮は横抱きにし持ち上げた



濡れたままの髪や装束から水が滴るが
紫暮は気にもとめないようだ





「し、紫暮様!恐れながら……!」





もと来た道を帰ろうとする紫暮に
野次馬の一人が声をあげる。
紫暮はゆっくりと振り返った。





「なんだ 申してみよ」




有無をも言わさないような紫暮の声に
声をあげた者は一瞬怯んだがおずおずと口を開いた。





「紫暮様……あなた様もお分かりになっている筈です……!」