その一言に話がピタと止む。 海岸に訪れたのは静寂。 あんなにはやしたてるように噂していた者は今は皆、目を伏せ、口を噤む。 ここでは自ら死体を上げるものはない。 ここではその行為は大きな意味を持つ。 その意味を背負うには大きな力が必要だ。 野次馬の中には、 それに値する力をもった者は居なかったよいだ。 誰もが静寂に耐えられなくなり始めたとき、一人の男の声があたりに響いた。 「その骸、儂が貰い受けよう」