「死体は女だ」 「黒く長い垂髪だ」 「傷ひとつ無え死体だ」 口々に女の話が広まっていく 「雪のような肌だ」 「緋色の長袴だ」 「それも質のいい」 「さぞかし向こうでは裕福だったろうに」 死人を悪く言う者はそういないが、 品定めは終わることのない。 「生きていたら美人だろう」 「それでいて裕福」 「なんで死んじまったんだろうなあ」 「で この女どうすんだい」