「そう言えば紫暮様」


水を持ってきた青年が思い出したように声かける。


「浜辺に死体が上がったそうですよ」



朝一番で話すようなことではないが、
珍しい出来事に青年は少し興奮しているようだった。



「お前は、何処でその話を?」



「鴉共が騒いでいました」



「そうか、お前は鳥の話を聞けるのであったな」



青年はおかしそうに笑う。



「はい 鳥は人間以上に姦しい生き物です。
ですが、今回は我々も騒がずにはいられないような事らしいのです。



死体は人間だと言うのです、紫暮様」