カルタの庭で


カルラを生んだとき
ミューズは自分がカルラを産めたのは、正妃のおかげだからとカルラには王位継承権はいらないから、王の息子だと認め、カルラだけここで暮らさせてほしいとセレネに頼んだ。

セレネはそれを拒んだ。

ミューズも暮らすことを望んだ。

そのため、今は二人の妃がこのカドミルタ王国には存在するのだ。

「お母様も、ミューズ様も素敵な方ですわ。」

私なんかと違ってとカイラは付け加えた。

「もう、カイラ・カルタ・カドミルタル。そんな弱気じゃダメよ。」

違うのだ。弱気なんじゃない。彼女はそう思いつつ、とりあえず返事をした。

「お姉さま、恋って何なのですの?」


「そうねえ・・。胸がドキンってして、その相手といるとすごく楽しいけど、たまに苦しくなったり・・・。表現できないわ・・・。」

胸がドキン
ということがカイラにはその時理解できなかった。

理解することもなかった。

なぜなら、彼女は

結婚の二文字を知らぬ間に遠ざけようとしていたから。