「ジルが来てくれるの?」
「俺のみですけど。」
カルラやローラ、お兄様たちに見送られ、馬車に乗り込む。
私はすぐに帰るつもりなので荷物は持っていかない。
そしてなぜか。
ジルの横にウォーカー卿。
「私とジルの二人旅だと思ってたのに。」
「俺、私だってお二人の邪魔をする気はありませんよ。公爵閣下に嫁いだ後は止めますが。」
ウォーカー卿はどこか苦手だ。
何だか、なんといえばよいのだろうか。
つかみどころがない?
・・・・・個人的にイラつく?
「カイラ。無事を祈ります。」
キールお兄様に笑顔でうなずき、
私はやっと馬車に乗り込んだ。
きっと私は寝ていた。
カルタ領と王宮の間にある、ジルの領地である、ミカルウタ領に着くまでの記憶が私にはない。