私とキールお兄様、カルラはお姉さまの住まいである、水仙の間に歩き出した。
「お姉さま。」
「キールに、カイラいらっしゃい。」
「ご招待ありがとうございます。姉上。」
私たちはそれぞれ席に着く。
「今日はカルラの好物の、杏子のタルトなのだけどよろしくて?」
「もちろんですわ。」
私たち兄妹は、カルラに滅法に甘い。
ルディお兄様を言い負かすほどなのだから。
「杏子のタルトに、ローズヒップティーですか。」
「だめかしら?」
「いえ。色がきれいだなと思いまして。」
キールお兄様の笑顔が引きつっている。
綺麗なくらいひきつっている。
確かお兄様はローズヒップティーは苦手だ。
私も得意ではない。。。
「お兄様、早くいただきましょう?」
「あ、あぁ。」
お兄様はローズヒップティーをほんの少しずつ、
まるで杏子で味を隠すかのように飲んだ。


