「私、頑張るよ。でも、頑張りたくないの。」

そう言ったカイラは泣きそうだった。

「レオン?」

「ジル。カイラ様、クライシス公爵がいらっしゃいましたよ?」

カイラは目に涙を浮かべたまま頷いた。

「ジル、お兄様、呼んでなかったわ。」

「失礼しました。私のきき間違いだったようです。」

ジルは俺に目くばせすると頷いた。

扉を閉めるとき聞こえたのは、ジルの声だった。

「俺、トモラエルについていく。」