「ねえ、レオン。私、トモラエルへの人質なの?」
「・・・・そうかもしれないな。」
おれには肯定も否定もできない。
カイラがトモラエルに嫁ぐ理由は、
カドミルタ王国の領地を広げるため。
シュライン公爵の革命を手伝うのは、
カドミルタ王国の領地を増やし、大陸を
一つの国にするため。
「お父様は温和そうに見えて、意外と野心家だもの。トモラエルの領地を手に入れるためなら、平気で私を殺すわ。」
否定できない。
確かにこの国は平和だ。
王も人気だ。
だけど、この国一番の野心家だ。
「ルディお兄様は、違うっていうわ。でもキールお兄様はそうだって言ったわ。もし変われるなら俺が行ければいいのにって言ったの。お父様は、何も言わない。私は何を信じればいいの?私が信じてもいいものはないの?」
「俺は?」
俺は信じてもらえないのだろうか。
カイラの二番目の親友だって自負してる。
「信じたいわ。親友だもの。でもね・・・」
「分かんないの。」
俺だってわからないことはたくさんある。だけど、カイラほどたくさんのものは抱えていない。
確かに俺は王の騎士団の副長だ。
でも、カイラは騎士団の団長。
王女。カルタ領の領主。
それに、公爵。


