俺は王のもとへ向かった。

一人もついていかないのは困る。

しかし大勢行くと困るなら、俺が一番的役なのではないか。

この国で一番強いのはカイラ様。

次は俺だ。

「ジルか。どうした。」

「私がトモラエルにカイラ様をお連れいたします。」

連れて行く。

俺が。

「おぬしまでいなくなると、国の中の剣豪がいなくなってしまうではないか。」

「騎士団はルシフェン男爵夫人にお任せしようと思います。私が副長をさせていただいています、第一騎士団の騎士の腕はこの国一です。私一人残るよりいいでしょう。それに、セルムーン子爵も剣豪ではないですか。」

「カイラのことが心配か?」

何を聞いてるんだ。当たり前じゃないか。

自国の王女を心配しない奴がいるわけないじゃないか。

「カイラは、人質だ。死んでも構わん。」

なっ・・・・・。


「お言葉ですが、陛下。王女はこの国で一番慕われています。」

「ああ。ワシの邪魔をしておる。」

邪魔・・・だと。

「先日、ルディアスが、王位をカイラに譲りたいと言い出した。ルイーズも一緒に。」

「はぁ・・・。」

「じゃからこそ、カイラは人質なのだ。もし無事に帰ってこられたら、死ぬまで、あいつはこの国を一番に考えるだろう。しかし今はまだ、覚悟がないのだ。あいつには。」