「リンゴがいいですわ!!」

「却下。桃に決まってるだろう。」

私のレッスンなんだから、私の好物でいいじゃない!!

「リンゴに決まってますわ!!ねえ、キールお兄・・・」

「いや、桃だろう!なあ、キー・・・」

キールお兄様はとても綺麗な笑みを浮かべていた。

「苺に決まってますよ。」

苺のタルトを持って・・・。

「紅茶は、アップルティーですわよね?!」

「いや、ピーチティーだって!!」

苺のタルトはしょうがない諦めよう。

苺はおいしい。桃より百倍いい。

「え?コーヒーだけど?」

な。コーヒーって・・。

苦いじゃんか。私苦いの嫌いなんだけど・・・。

ルディお兄様はもっと嫌そうな顔。ものすごく嫌そう。とにかく嫌そう。

「冗談ですよ。兄上にはピーチティー。カイラにはアップルティー。で僕が、ミルクティーです。」

そして私たちは席に着いた。

「席の着き方は上手だな。」

席の着き方もあるんだ・・・。

「カイラのように自分で椅子を引いて座るのがトモラエル風ですからね。」

あ、そっか。私はたいてい一人で何でもするからね・・・。

こっちじゃ、執事が椅子を引くのは当たり前なんだっけ。

「じゃあ、いただくか。」

「はい。」

私は、ルディお兄様の号令を待つ。

「いただきます。」

私とキールお兄様は声をそろえる。

「いただきます。」

我が国では、ミヤコがこの号令を広めて以来、こういった席でもその場にいる年長者が号令を言うことになっている。

いわば習慣であり、王族だろうが、貴族だろうが、庶民だろうが、全員言わなくてはならない。



「苺美味しいですわぁ・・・。」

「桃のつぎになっ。」

「いえ。苺が一番ですよ。」

そんな他愛の無い午後3時