お母様は厳しい。そして、姉御肌っていうやつ。そのせいか、ミューズ様は、お母様を姉妹のように慕ってる。
「お母様、ミューズ様にもごあいさつしたいのですが。」
「じゃあ、一緒に行きましょう?そのあとでレッスンでいいでしょう?キール。ルディ。」
お兄様、まだ愛称なのね・・・。
ウケる。
***
「ミューズ。」
「セレネ様!あら、カイラ様。お久しぶりですわ。また、お綺麗になりましたね。」
「ミューズ様も相変わらずお美しいですわ。」
本当に・・・。ずるいなあ・・・。
何であんなに美形なんだろう?
「トモラエル公国に行くのですよね?」
「ええ。」
「ご無事をお祈りしております。」
私は、やっぱり危険な道に進むんだと確信した。
私は捨て駒なのかもしれない。
それでも、お父様に必要とされるだけましだと思う。
「お母様。あ、正妃様。こんにちは。」
「こんにちは。カルラ。」
「カルラ、お久しぶり。」
可愛い、弟カルラ。生まれつき目が悪く、勉強の時は必ずメガネをかけている。
「カイラお姉さま。お久しぶりです。」
最後に会ったのは、キールお兄様が開いた茶会の時だから約半年ぶりかしら。
「お元気出したか?」
「ええ。もちろんよ。」
「いつか、僕に剣を教えてくださいね?」
私はニッコリ微笑み頷く。
「カルラ、カイラ様はお嫁に行くのよ。」
「お嫁に・・・ですか?」
あ、教えることができない・・・!!
「僕・・・剣術教えてもらえないのですか?!」
教えたい・・・。でも、カルラはまだ10歳だし・・・。
「これから一か月間ならいいじゃないのかしら?」
お母様・・・!!そうよね。基礎を一か月教えれば・・・。
「ええ。そうですわ。どうですか?ミューズ様。続きはジルにでも頼みますし。」
「・・・ですが。大変じゃないですか?」
カルラのためなら大丈夫。


