「眠いわ・・・。」
結局、あの戦いののち、結界を強めるために一晩使った。
そしてやっと終わったところに、レオンことセルムーン子爵と、クリスことルシフェン男爵夫人が駆け込んできたのだ。
「人の迷惑考えなさいよね。」
今はお説教中。ほーんと、ローラはモノ好きだわ。
こんな、男好きになるなんて。
迷惑は、平気。トモラエル公国の第三公子を脅す。一般人の前で能力を見せる。軟弱に見えて、特技は剣術。
こんな男いるかしら?
まあ、確かに彼の銀髪はすごく綺麗だけど。
黄色の瞳もまぶしいくらいに綺麗だけど。
外見は仔羊。中身はオオカミのどこがいいのかしら。
「申し訳ございません。」
「せっかく一晩使ったのにこれじゃボロボロじゃない。エリカ、呼ぶわよ!!」
「姉上を?!、そ。それだけはご勘弁を。」
きっと、レオンは、ローラがここにいると思ってるわね・・・。
「ローラはいないわよ。」
つまり助け舟はいないってこと。
「ちっ。」
ほらね。本性出して・・・
「カイラ、協力してくれるんじゃなかったっけ?」
私を脅そうとしてる。
「するわよ?だって、ローラのためだもの。」
「ローラ様の?」
ずっと、思ってたんだけど、なんで、私はカイラなのかしら?
ローラは様付きのくせにさ・・・。
私はレオンより高い地位なのになぁ・・・?
「ま、まあカイラその辺にしようよ・・・?」
「クリスは、なぜレオンを止めなかったのかしら?」
由緒あるマルグリッド家のたとえ末っ子であっても礼儀作法や常識は完璧なはず。
はっきり言って。安眠妨害は常識的に考えてありえない。しかも一国の王女の。


