ユリナは二人の来客を応接間へと通す。

彼は仏頂面で、対応する。ユリナがお茶をだし、アレンの横に座る。

「改めてわたくしは、クリスティーヌ・ファン・ルシフェンと申します。そうですわねえ・・・カイラの右腕の赤い天使と言えばわかるかしら・・・?」

赤い天使と言えば、カイラが唯一背中を預ける相手だ。

今では、密偵とどうしてもの時のみ戦うらしい。

「あ、敬称は必要ないですわ。クリスでよくってよ。」

「私は、レオンハルト・セダルタ・セルムーンと申します。」

子爵はクリスティーヌとちがい、長々とは話さない。

「俺に何か?」

「クライシス公爵と私たちの間に入っていただきたいのです。」

いわゆる連絡役だ。

「なんで・・・なんで、アレンなんですか?!」

そこで初めてユリナが反論した。

「正直に話します。クライシス公爵に革命を進めたのは自分たちです。2時間ほど前に、話してきました。」

「あなたねえ!!」

突然ユリナの言葉が遮られた。

アレンが静かに首を振る。

「・・・失礼しました。」

「おっしゃりたいことはわかりますわ。でも私たちは・・・カドミルタ王国は大公のせいでこの国がめちゃくちゃになるのを止めたいのです。」

「あたしたちは、今のままで十分幸せです!!」

アレンは一言も話さない。

「・・・協力しましょう。ユリナは巻き込まないと約束していただけますよね?」

「もちろんです。が、ユリナ嬢も危険に巻き込まれる可能性がないとは限りません。もしもの場合はこの鳩を使って、ルシフェン男爵を頼ってください。もちろん夫人もいますから。」

「分かりました。今日はもう、遅い。泊まる場所は決まっていますか?」

「いえ。帰りますわ。」

にこっと微笑むと、彼女たちは消えてしまった。

窓があいていることから、出て行ったことは確実だ。

「・・・能力者・・・か?」