彼は大公の庶子。それもユリナは知っていた。

だから、彼が騎士になれたことも。爵位をもらっていることも。彼の家が少なからず普通より広いことも。

「アレン・ウォーカー卿ですね?」

「誰だ?!・・・仮面綺麗だな!!」

感心するところが間違っている。

「ユリナ、先帰って。危険だからさ。」

「、危険ですか。」

「そうだよ。俺とやりに来たんだろ?」

狼藉者(かもしれない)は小首をかしげる。

「わたくしは、クリスティーヌ・ファン・ルシフェンと申します。公爵閣下のもとに向かったのは、あら来ましたわ。」

ユリナは人影を見つけた。

その人影は剣をぶら下げている。

「!!アレン、あぶな「くないですわ。御嬢さん。」

ユリナはびっくりした。今までアレンの前にいたクリスティーヌが自分の耳元でささやいているのだ。

「セルムーン子爵、遅いですわぁ。わたくし、ウォーカー卿と怠慢を張りそうでしたのよ。」

「怠慢!?」

彼は驚きを隠そうとしない。

「もちろん、素手ですわよ。」

セルムーン子爵が頭を抱える。

「ルシフェン男爵夫人、過激な言葉は男爵が心配するぞ。」

「れれれ令嬢じゃなくて、夫人ってことは・・・」

「「人妻??!!」」

二人して、彼とユリナは叫ぶ。

「御嬢さん、どこか静かな場所はないかしら?一応、潜入ってことになってるから目立っちゃ困りますのよ・・・。」

ユリナは、案内すると一言言い、先頭を歩きだした。

「ん?!」

彼女が連れて行ったのは。アレンの家だった。

「何で俺ん家?!」

「お母様はあたしのママと旅行中じゃない。」

彼は忘れてたとつぶやく。

ユリナが迎えに来たことも、ちゃんとつながる。