では、と彼は続ける。
「妹君のローラ嬢か。」

ぼんっと音がして子爵の顔が真っ赤になる。

「図星…だな?」

ニヤッと彼は笑う。

その顔は男でも惚れるような、妖艶な笑みだった。

「では、私はこれで!!」

「待て。足音がする。今出たら危険だ。」

急いで、子爵も耳を澄ます。

バタバタと大きな足音が確かにする。

それは、この温室の前で止まった。

「公爵!!」

「なんだ。」

「狼藉者のようです!!お逃げくだ・・・、お前!!」

子爵が見つかったらしい。

「おっと。見つかったようですね。」

「何をしたんだ?」

子爵は、いたずらっ子のように微笑んだ。

「眠っていただいただけですよ。悪いが、君と遊んでる暇はない。公爵、失礼します。」

そして、あっという間に消えた。

「お怪我は、ございませぬか!!」

「ああ。」