「おねえちゃん、おねえちゃん。きょうね、ぷーるのひだったの」
  (上手に泳げた?)
「うん。それでね、みんなのせなかには、ちょうちょさんいなかったの。せんせえのせなかにもちょうちょさんいないって」
  (そうなの)
「おせなかにちょうちょさんがすんでたらたいへんだってせんせえがゆってた。おねえちゃん、たいへん?」

 おねえちゃんは、やっぱりちょっとだけわらいました

  (そうだね、蝶々さんがお姉ちゃんのお背中に引っ越しするときは少し痛かったような気がするかも)
「いたい?『いたいのいたいの、とんでけー』、する?」
  (ありがとう、大丈夫だよ。少し痛かったけどね、お兄ちゃんとお揃いだったから、辛くなかったの)

 そこでぼくはわからなくなってしまいました
 『いたい』と『つらい』ってどうにちがうのか、ぼくにはわかりせんでしたからです

  (まだわかんないかぁ。今はわからなくても、あと10年もすればわかるようになるよ)
「……おにいちゃんも、おせなかにちょうちょさんすんでたの?」


 おねえちゃんはきれいにわらって、そおよ、とゆいました
 ちょうちょさんのおはなしでおねえちゃんがわらったとこをはじめてみたので、ぼくもわらいました

「なんでつらくなかったの?」
  (お姉ちゃんがお兄ちゃんのこと好きだからかな)


 『こいってすてきなことだよ』とやさしくなでてくれたので、ぼくははやくおおきくなって、おねえちゃんと『こい』がしたいです