「………」


 走りながら、エイジはまただ、と思う。

 飛んでくる弾丸の中を、こうやって必死に走っていると…いつも、デジャヴを見る。

 銃が発砲される音や、辺りの窓ガラスが割れる音。

 それらの音は、頭の奥深くでぐるぐると回り、自分の中でヴェールに包まれている部分を、チクチクと刺激する。



『テメェ、何で…!』

『気にすんな。…行けよ、――』


 行けよ、の後に続く肝心な名前が出てこない。

 だがやけに鮮明な画像が頭に浮かんで。


『どこにいても…世界中のどこにいても、あたしがあん たを見つけ出してみせる』


 あァ…そうだったな。


『わたしが、あなたを殺させはしないわ』


 ふっと息を吐き、エイジは出会い頭に現れた敵を三人まとめて蹴り倒す。