後は、あのミサトという女。

 日本にいる時、自分の命を狙ってきた、あの女。

 確実に、始末したものと思っていたが。

 ロンは、考えを巡らせる。

 何故、ミサトが自分の命を狙ってきたのか。

 ミサトは、単独で行動していたのではない。

 裏で糸を引いている組織がいるのだ。

 データベースにも載ってこない、腕のいい狙撃主という情報と、その裏に絡む組織とを、方程式に当てはめて出てくる答えは。

 あの、組織。

 最も最悪な答えに至って、ロンは身震いした。


「ツァンダオを呼べ」


 部下にそう命じる。

 しばらくして、背の低い細身の男が部屋に入って来た。

 その後ろには黒いマントを羽織った男が3人、控えている。


「ターゲットは?」


 低い声で、ツァンダオと呼ばれた男は言った。


「レン・マキハラ。それと、ミサトという女だ」


 ロンは写真を渡す。