そんなミサトの様子を見て、レンは口を開く。


「…ひとつ、聞くけどよ」

「何よ」

「おめぇは一体、何者なんだ?」


 その問いに、ミサトは少しだけ驚いたような表情を浮かべ、そしてふっと、苦笑する。


「…ねぇ、あたしたちって、お互い何にも知らないのよね」

「ん?」

「世の中に人間がこれだけたくさんいるのに、出会う確率って相当なものよね」

「何が言いてェんだ」


 レンは不審そうな目つきでミサトを見つめる。


「あんたもあたしも、たまたま出会っただけの、偶然の関係」

「だからなんだっつうんだよ」

「だからね」


 ミサトはにっこりと笑う。


「この関係がもし、ずっと続くんなら、いずれはこのあたしが誰なのか分かると思うの」

「はァ!?」


 レンは、ふてくされた顔をして言う。