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ようやくその店が見つかったのは、すっかり日が暮れてからだった。
「おぉ、ミサト! よく来たなァ!!」
店のドアを開けると、白髪の品のよさそうな老人が、待ってましたとばかりにカウンターの中から声をかける。
「午前の便でこっちに来るって言っとったから、わしゃてっきりもっと早く来るのかと…ミサト、もしかして観光でもしてきたのかね?」
「……これの…どこをどう見ると、そんな見解が出てくるのかしら…? 」
心持ち眉をヒクつかせながら、ミサトは老人に言った。
その姿はあちこち汚れていて、髪の毛も相当乱れている。
「なァ、ミサト。旅に出る時くらい、もっと綺麗な洋服を着てきたらどうなんじゃ? なんかこう…オシャレじゃないのぅ…」
「………ジジイ……」
わなわなと震えるミサトの前にビールを置いて、老人はにこにこと言う。

