BRACK☆JACK~本章~




☆  ☆  ☆



 ようやくその店が見つかったのは、すっかり日が暮れてからだった。


「おぉ、ミサト! よく来たなァ!!」


 店のドアを開けると、白髪の品のよさそうな老人が、待ってましたとばかりにカウンターの中から声をかける。


「午前の便でこっちに来るって言っとったから、わしゃてっきりもっと早く来るのかと…ミサト、もしかして観光でもしてきたのかね?」

「……これの…どこをどう見ると、そんな見解が出てくるのかしら…? 」


 心持ち眉をヒクつかせながら、ミサトは老人に言った。

 その姿はあちこち汚れていて、髪の毛も相当乱れている。


「なァ、ミサト。旅に出る時くらい、もっと綺麗な洋服を着てきたらどうなんじゃ? なんかこう…オシャレじゃないのぅ…」

「………ジジイ……」


 わなわなと震えるミサトの前にビールを置いて、老人はにこにこと言う。