BRACK☆JACK~本章~



「あんただっていなかったじゃない!! ブラックジャックだったのよ、あたしはっ!!」

「…何じゃそりゃ」

「何やってんのよ、なんでわざわざ騒ぎを起こすワケ?」

「交渉決裂の結果だ」


 あぁもう、と、できることなら頭を掻き毟りたいのを必死でこらえて、ミサトは内腿に縛り付けてあった銃を手に持った。


「あんたに駆け引きの才能があるとは思えないけどね、レン」


 物陰から銃で応戦しながら、ミサトは言った。

 いやまったくだ、とレンは変なところで納得している。


「とにかく逃げるぞ。何だまだ持ってたのか、それ?」


 レンはケースに目を落として、ミサトの顔を見る。


「だって大金なのよ?」

「捨てちまえ、そんなモン」

「え? だって…」

「ニセモノだ」

「あ~もう、ムカつくっ!!」


 腹いせに、ミサトは敵のほうに向かってアタッシュケースを思い切り放り投げた。