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店内を見渡すが、レンの姿が見当たらない。
さっきより幾分か軽くなったアタッシュケースを両手で持ちながら、ミサトはあちこちを歩き回る。
しばらく探すのだが、レンはどこにもいなかった。
ミサトはじっと、ケースを見つめる。
「ちょっとくらい…使っても平気よね?」
考えてみたら、カジノに来るのは初めてだ。
やってみたい衝動に駆られ、それでもどうしていいのか分からずに、ミサトはとりあえずブラックジャックのテーブルに座った。
ディーラーをしている長いストレートの黒髪の女が、英語で何か言ったが、もちろん通じるわけもなくミサトは愛想笑いで誤魔化す。
女は苦笑しながら肩をすくめ、 カードを配りだした。

