BRACK☆JACK~本章~




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 店内を見渡すが、レンの姿が見当たらない。

 さっきより幾分か軽くなったアタッシュケースを両手で持ちながら、ミサトはあちこちを歩き回る。

 しばらく探すのだが、レンはどこにもいなかった。

 ミサトはじっと、ケースを見つめる。


「ちょっとくらい…使っても平気よね?」


 考えてみたら、カジノに来るのは初めてだ。

 やってみたい衝動に駆られ、それでもどうしていいのか分からずに、ミサトはとりあえずブラックジャックのテーブルに座った。

 ディーラーをしている長いストレートの黒髪の女が、英語で何か言ったが、もちろん通じるわけもなくミサトは愛想笑いで誤魔化す。

 女は苦笑しながら肩をすくめ、 カードを配りだした。