【2】




 ダウンタウンは、自分たちのような人間が身を隠すには丁度いい街でもある。

 寂れたホテルの一室のソファに座ってウイスキーのグラスを傾けながら、ミサトはそんなことを考えていた。

 しばらくするとシャワーの水音が止まり、タオル1枚を腰に巻きつけたレンが戻ってくる。


「レディの前で、なんちゅう格好してんのよ」


 心底嫌そうに、ミサトはレンを見た。


「はにかんでいるようには見えねェけどな。おめェも浴びねェのか、シャワー」

「結構。どこぞの得体の知れない男にいつ覗かれるかもわからない状態で、シャワーなんて浴びれますか」

「……汚ねェ」

「やかましい!!」


 デリカシーのかけらもない。

 なんなのよこの男は、とミサトは半ば自棄になって酒を飲み干す。

 レンはそんなことは全く気にせずに、自分のグラスにウイスキーを注いだ。