ミサトは隣で頭を掻きながら何で俺が…とか文句を言っているレンを、横目で見つめる。

 この男、も。

 何だか、同じ香りがする。


「さ、早く行きなさい」


 だんだん近づいてくるサイレンの音に、老人は二人を促した。


「ったく…来いよ」


 ぶっきらぼうに、レンは言った。

 思わず見とれていたことに気付かれないように、ミサトは不本意なんだからね 、としっかり釘を刺しつつも、レンの後についていく。

 老人はその二人の後ろ姿を、黙って見送っていた。