一瞬、あの男も巻き込まれたかと思ったが、すぐに男の姿は炎の中から現れて、ミサトはほっと胸を撫で下ろす。


(…え? なんであたしがほっとしてるのよ)


 いくら、成り行きとはいえ。

 意味のない自分の感情に、ミサトはいささか違和感を覚える。


「これで片付いたな」


 刀を鞘に戻し、男は得意げに言った。


「なんなのよ、アンタは一体…」


 ミサトは銃をホルダーにしまい、男を見つめた。


「俺か? 俺はレンだ。レン・マキハラ」

「?」


 きょとんとしてレンと名乗った男を見つめるミサト。


「レン? そうか、お前さんが…」


 老人は、納得したように呟く。

 知ってるの、と尋ねると、老人はもちろん、と大きく頷いて。