【未来side.】


あの日の夜、あたしはずっと泣いていた。


別れたくないのに・・・。
大好きなのに・・・。


翔を守るために・・・。
あたしは、自分からサヨナラをした。



翔の声を聞くと、涙が出てきた。
でも、それをばれないように必死で我慢した。


電話を終えると涙が溢れ出して・・・。
止まらなくて・・・。
苦しくて苦しくて・・・。


「翔・・・」

どうして・・・?
どうしてお父さんはわかってくれないの?
お父さんはいつもあたしの意見を聞かずに勝手にいろいろ決めてしまう。

婚約のことだって・・・。



どうして言ってくれないの?



あたしのことが嫌いならほっとけばいいんじゃないの?



―――会いたい・・・。


「会いたいよぉ・・・翔ぅー・・・うっ・・・ひっく・・・」




3日後には、婚約者と会わなければならない。



会いたくない。



翔じゃなきゃイヤだ。





でも・・・。
翔のためには・・・これが一番いいんだ・・・。

自分にそう言い聞かせるのが精一杯だった。