『武士ドルが斬る!?』〈前編〉



 南蛮の師達より持ち込まれた“魔王の法書”を差し出した。


 「…であるか!?」


 満足気に“魔王の法書”を受け取り改めてその場にいた者達を見回し無言で頷いて互いの無事を喜んだ。



 「おーい…。」


 何者かの声に気づき思わず息を潜める。


 「大事ない‥!
様子をみてくる。」


 声は自分がきた方角を睨みつけてまた険しい顔つきに戻った。


 「殿に何かあっては…私めが参ります。」


 濃の口を塞ぎ言葉を制して殿はニヤリと笑った。


 「様子を見に行くだけだ…。

 南蛮の師達が正しければ…ここは過去やも未来やもわからぬ場所…この目で見定めてくる!」



 強くいい放った言葉に濃は…一礼してそのまま跪いた。


 「おーい…!
 誰かいるのかー?」


 殿は皆に頷き別れを告げると声に導かれて来た方向を戻る‥。


 身を潜めながら様子をみると‥上空に銀のいでたちをした男が1人穴に向かって叫ぶ様子が見えた。


 明智の手のものではない事を確認した殿は…わざと上空側から見えるように横切るように反対側に渡り身を潜めた。


 「誰かいるみたいだ!」