「相も変わらず下品な奴だ…。」
フンッと鼻で笑いKen-sinを見つめていた殿が先程のスケボーを彼の前に差し出した。
「――忝い……。
おかげで助かった。」
スケボーを差し出し丁寧に頭を下げた殿に対して―フッ…っと冷ややかな笑みを浮かべた。
「――別にそなたを助けたかったわけでは…ないが、そこのお嬢さんには借りがある…。
救われたと思うなら彼女に礼を尽くすとよい…。」
スケボーを受け取りつつ私をチラ見しながら答えた。
「そうか………。」
Ken-sinの言葉に頷き私の手を強く握った殿は目を細めた。
そんな私達をみて心なしか麗しき黒い瞳を細めた彼はくるりと身を翻して指をパッチンと鳴らすととともに再びクラブの踊場にダンスミュージックがテンポよく流れた。
「Kabutoを怒らせたからには…次は真剣に挑んだ方がいいだろう!
遊びじゃすまされない……という事だ…。
それまでに腕を磨いておくとよかろう………!!」
まるで何もなかったように…その場にいた者達が音楽に合わせて踊り始めたのを確認しながら彼はサラリと長い黒髪を靡かせて私達に言い残した。

