「行けない…。」
「えっ…?」
踊る殿をステージの上から見下ろしながら私は首を横に振った。
「いけないよ…。
殿を置いていけるわけない…。」
「何…言ってんだよっ―――!!
せっかくアイツがその機会作ってくれたんだぜっ―――!!…」
諷馬は烈火のごとく怒りの声をあげて…私の手を掴んだ。
「行きたくないのっ―――!!
ここで殿が戦う姿を見届けるのが…私の…吉乃の夢だから…!!」
ずっと…。
どこかで願ってた。
殿が元気で帰ってきてくれたらそれだけでいいなんて…強がりいいながらいつもほんとは殿についていけたらと思ってた…。
―――その想いを息子…信忠は汲み取り戦が好きではなかったのに私の夢を背負わせてしまった…。
涙が滲んできたのを…ゴシゴシと手で拭った。
「私も殿と戦うの…。
だから…1人だけ誰かに守られながら逃げたりしないっ…!」
「姉ちゃん…!!」
ありったけの想いを込めて私は諷馬の手を振り払った。

