彼の話を真剣に聞いた。
「…目が覚めたら…朝の光に照らされた毘沙門天の仏像がまるで後光を放っているように思えた。
私はその日からそのお堂のお寺を尋ね…まず住職にその話をした…。
そこは女人禁制の男寺だったけど…毘沙門天の思し召しとすれば…と快く引き受けてくれて…寺に入った。」
「それで…?」
言葉を飲み込んだ彼の話に聞き入り続きをせかした。
「…私は…。
それでも迷っていた…。
何故ならどんなに願っても…どんなに望んでも…私の家の争い事がなくなるワケでもなかった…。
ある十五夜の夜…眠れずに寺の外をブラブラと歩きあのお堂にたどり着いた。
私は意を決して…自分の想いを心の中で唱えるのではなく…声にだして尋ねた。
漠然としないモヤモヤした想いをだ…。
しかし…吐き出して声がかれる程1人仏像に向かって話し疲れて眠るまで声にだして言い続けた甲斐あり…その夜また毘沙門天の掲示があった…。
――見ても晴れぬ…聞いても晴れぬ…思っても届かぬその想い果たしたいなら…自分でその願いが真の物か見届けよ…っていう声を聞いたんだ…。」

