話をしてる途中に感情が込み上げてきて涙がうっすらと瞳を濡らす。
「…怖かったのかもしれません…。
どうか無事で帰ってきて…。
そんな事も願えない程私は…その方を失う事が怖かったんです…。」
私の中の吉乃の奥底に沈めた古傷が疼きだした。
それを…黙って聞いていたKen-sinはいきなり立ち上がり屋上のとこにある用具置き場のような作りの部屋に入っていき再び戻ってきてまた私の横に座り込むと突然引き始めた。
「続けて…。」
Ken-sin得意の琵琶の音が夜空に響く。
「…やがて…。
私は…お産のしくじりから心臓の病を患い…。
39歳という若さで生を終えました。
再び…その人に出会える事を心に魂に誓いながら…。
だけど…。」
私は唇を噛み締めてスカートの裾を握った。
「…それで…?」
琵琶を弾きながらKen-sinは…冷静に続きを煽った。
「…わからなくなっちゃった…。
出会いたくて出会えた相手なのに…。
なんだか不安で落ち着かなくなって…。
昔の私みたいに…明るく笑って彼を送り出し出迎えてやる事ができるのか…すごく不安で…そう思ったら呼吸もできない程苦しくなってしまって…。」

