携帯番号の使い方もだいぶ慣れた手つきで…赤外線を使ってアドレスの交換をする殿のフットワークの軽さに身も心もほだされて彼らと別れて家路へと続く道を二人歩いた。
「…吉乃…。
本能寺の変については…すまぬ…。」
突然並んで歩く殿は…私の手を握りしめ謝った。
「殿が悪い訳じゃないですもの…。」
なんと声をかけていいかわからなかったけど…例えこの人に罪があっても受け入れたいとさえ思いがこみ上げてきた。
「…信忠を別の宿舎にとまらせたのは痛手じゃった…。
信忠には…わしの跡を継いで天下を取ってもらいたかったが本能寺で巻き込まれ討ち死にさせてしまった。
そなたに…とっては辛い事じゃな…。」
ふっと寂しい表情を見せた殿に…私は言葉を詰ませながらも返した。
「信忠は…いつも幼名、奇妙の頃より殿のお役に立てる事だけを考えていました。
時折…それが報われず苦い思いもしたようですが…あの子にとってあなたは偉大な存在だったんだと思います…。
もしこの先…。
信忠にあう事があれば信忠を‥“よくやった…!
お前はいつもよくやっている…!”とだけねぎらいのお言葉をかけてあげてくださいまし…。
それが…私からの吉乃からのお願いにございます。」

