「殿…。」
情でどうにかなる問題では…きっと殿達の時代ではないのはわかっていた…。
ましてや本能寺の変においては…我が子信忠までも討ち死に追い込まれていくら吉乃が過去の事だといえど…笑っていられるほどの心境ではないのは確かだろう…。
あの日…。
あの時に…。
時代は大きな転換期を迎えたのだから…。
殿は無言のまま何やら胸元のポケットから一枚の用紙を明石少年に差し出した。
「お主に機会をくれてやる…。
その紙に書かれている事を書き加え周りに認められたなら…お主の罪許そう…。
忠興や玉の為にも…心してかかれ…。」
白い紙を明石少年の目の前に置いた殿は…不敵な笑いを浮かべた。
明石少年は…テーブルに置かれた白い用紙をおそるおそる手に取り開いた。
カサッ…。
丁寧に四つ折におられた用紙を開いたそこに書いてあったのを読みはじめた明石少年は思わず声をあげた。
「…これ…。
何…?
歌の歌詞…に見えるけど…?」

