「…吉乃…。
あの方の…後妻として土田 弥平次〈ドタ ヤヘイジ〉殿に嫁いでくれぬか…?」
「えっ…。」
思ってもいない縁談に私は先程の弥平次様の不信な態度の理由を知った。
この時代…家の決めた婚儀に背く事も出来ず…私は兄上の意に頷いたが…この事を聞いた諷馬は‥。
「類さま…!
どこか遠くに逃げよう!!
土田様の後妻なんて…類さままだ初婚なのに生駒の旦那様もあんまりだよ…!」
複雑な気持ちの私の心を駆り立てるように…諷馬は私の縁談に意を唱えた。
「…それは…出来ないわ…。
確かに…私、弥平次様の事何も知らないけれど…いつかは訪れる話だから覚悟はしていたの…。」
心配そうに私を見つめる諷馬は…私を抱き寄せた。
「…類さま…。
―――行かないでくれ…!
俺は…。
類さまのこと‥幼い頃から‥。」
抱きしめられた諷馬の言葉を示す先の気持ちを感じとり…私は慌てて諷馬の腕をといて突き飛ばした。
「――ゴメンナサイ。
もう…決めた事だから…。
心配してくれてありがとう…!
私…幸せになるね!!」
無理に笑顔を作り諷馬に明るく振る舞った。

