濃姫の言葉が…昔の吉乃の夢にでてくる時に…度々話に出てきた…“濃の好いた者”という声が脳裏に蘇り胸を揺さぶった。
「まさか…その事吉乃も知っていたりする?」
脳裏に響く声に誘われ私は濃君へと尋ねた言葉に頷きゆっくりと返した。
「ええ…。
結局、私の後を追ってきた濃姫は生駒の屋敷に出入りしている事を聞いてそのまま切りかかるつもりでしたが失敗に終わったようで…結局自分の事も素性がバレてしまい…濃姫はそのまま生駒の屋敷に置いてもらう事になったみたいで…生駒のねえ様には…彼女の命も私の命もお助け頂きました。
きっともし…あの時殿にお口添えをして下さらなかったら…きっと彼女はそのまま黄泉の国へ旅立っていたと思います…。
本当に生駒のねえ様には…数え切れぬ温厚を賜りこの濃…。
いつか恩返しがしたいと思っておりました。
それで…この時代に私が男でありながらおなごね格好をしているものなど知らぬ事と思い…こうして再び男の姿に戻り殿とともにデビューをする事を決めました。」

