『武士ドルが斬る!?』〈前編〉



 私の言葉に殿はウーンと唸り言葉を返した。



 「ないとはいい切れぬかもな…。

 ただ日本は他国とすると…やはり様々なモノが遅れている…。


 先進国と同じ速度で時が回る必要はないが…少なくとも万人が同じ暦をみて世界の中で自分たちのいる日本という国の曜日や時間を共有する方が目的も定めやすい…。


 それに先程の明へ出兵の話とて…日本にいるばかりでは見えぬ事だってあるはずだ…。

 内側を見つめる為にはまず外の声を聞かなければ成り立たぬし…。
 外に出るためにはまず内側を固めぬものだと思う‥。

 わしはキリスト教には興味はないが…南蛮渡来より遥か彼方の遠い国から…我らの国にキリスト教を伝えたローマ教皇とスペイン国王に尊敬の念を抱いておる…。

 この国に南蛮渡来の文化を持ち込む事で日本人の心を侵略する事ができたからのう…。

 日本はまだまだじゃ…武家と朝廷の役割もあろうが…どちらも日本の長を極める者、その長を極める者が他国の事を知らずにいるという事がいつまでも許されているはずもない…。


 過去にも…元寇襲来〈ゲンコウシュウライ〉など日本以外の国から侵略を目的として攻めてくる事だってあるわけだしのう…。
 攻撃に使わなくとも‥いつかのその時に備えるべきこともできるはずじゃ‥!」