最後の文を読み終えた私は…八右衛門兄さんの遺言に涙を流した。
その横で殿は…ゆっくり私を抱き寄せた。
素っ気ないけど私の事…家族の事を考えてくれた兄…。
前の夫を亡くした時…他の誰でもなく私に帰る場所を作ってくれたのは…兄上だった。
その兄上が…自分の最期の遺言に私の事を気にかけてくれたという思いに私はこらえきれず涙がとまらなかった。
「仲良かったんだね…。
その…八右衛門さんっていう人と…。」
愛もいつの間にかもらい泣きをしながら口にした言葉に私はゆっくりと頷いた。
「…八右衛門には…本当に世話になった。
八右衛門の夢…。
この信長が必ず果たし…真帆とともにこの時代を生き抜こう。
今度は…自らのために…。
家の為でもなく…誰の為でもなく…自分達の為に生き抜くのじゃ…。
吉乃…の思い…八右衛門の思いも無駄にはしたくない…。
真帆…。
そなたと共に…この大義を成し遂げたい…。
再び…。
わしと一緒になってともに新しい時代を生きてくれぬか…。」

