諷馬の嘆きに車内に張り詰めた殺伐とした空気は…はれて声を揃えて笑うその前方に…いつの日も変わらぬ夕陽の空がひろがる…。
その空に懐かしい生駒の屋敷を思い浮かべ兄…八右衛門に心から感謝しながら家路までの道のりを進み自宅へと辿り着いた。
「ふーん…。
そうなんだ…!
…それで…サブちゃんと暮らす事になったのね…!
いいじゃな~い!
前世からの想い人を訪ねて…400年なんて~世界名作劇場でもないわよ~!
ママ…!
断然応援するわっ!!」
自宅に帰ってきた私達は…車の中での出来事を徳家くんや濃君…愛や未茶と…そしてママに事情を説明するなり…ママはミーハーな声をあげた。
「さ…サブ…?」
さすがの殿も…自分が呼び名をつける事はあっても…面と向かってつけられる事はなかった為…ママの対応に対して苦笑していた。
「まったく…。
やめなさい。
子供じゃあるまいし…!」
奥から古ぼけた玉手箱のような漆ぬりの箱を持ってきたパパから一喝されて…“はあい”とママはふてくされながら低い声をあげ頷いた。

