「まことか…!!」
パパの言葉に嬉しそうに声をあげた殿は…思わずシートから身を乗り上げた…。
その様子穏やかな笑み浮かべゆっくりと落ち着いた口調で話始めた。
「ええ…。
実は…うちに伝わる古文書にしるされている400年前からの遺言なんです…。
この家に生駒吉乃の夢をみる娘が誕生した時…織田信長と名乗る名将訪ねあり…その娘を殿に嫁がせるよう…これ密かに遺言とする…。
遺言主…生駒八右衛門…。」
「えっ…。」
パパの言葉に思わず固まった。
“生駒‥八右衛門”‥って―――まさか‥。
「兄上が‥!?」
バックシートから私も身を乗り出してパパに再度確認する‥。
その様子にパパはゆっくりと頷いて微笑んだ。
「彼の名を聞いただけで‥その呼び名を口にしたのは‥君だけだね‥。
真帆…。
いや‥生駒吉乃様か‥。」
なんだかパパに“様”づけで呼ばれて寂しくなったが‥懐かしさとともに吉乃の兄‥八右衛門の顔が脳裏に浮かんだ。
「生駒…八右衛門って…吉乃様の兄上様じゃん…!
なんで…パパがその人の遺言状の事を…?」

