殿は真っ直ぐな瞳を光らせて…バックミラー越しに見ていたパパを凝視した。
「く…クサイセリフ…。」
シーンと静まり返った車内に吹き荒れる沈黙に耐えきれず茶化した諷馬を…パパは横目で睨みつけ諷馬は俯いた。
「真帆…。」
そして…またバックミラー越しに私を見つめ言葉を放った…。
「今日から家を出て…信長くんと暮らしなさい…。」
「えっ…?」
突然のパパの言葉に一瞬言葉を失った…。
家を…でる…?
「ちょっと…待ってよ―!
なんでそうなるわけ―!!」
諷馬も驚き声をあげた…。
そんなパパはクスリ…と微笑を浮かべて答えた。
「何って…。
真帆には…うちの生駒家の遺言に従い…信長くんと婚約してもらうよ…。」
「えっ――――!!」
何何何何何何何何何何ーーーーーーー!!!
突然の爆弾発言に私も諷馬も驚き声をあげた。
「な…な…な…ななんでそうなるかなあーーーーーー?」
諷馬は頭を抱えて髪の毛をクシャクシャとかき回した。

