「だから…と言っても殿は今大事な時期ではありませんか…。
私の為なんかに…あんな事をしてせっかくの契機を無駄にしてはいけません…。」
きっと…殿は瞬時にその事を汲み取って自分の身の危険も省みずあんな行動に出させた事が悔しくて口を噤んだ。
その様子をみた殿は…ただ真っ直ぐに見つめてた。
「もしわしが行かなかったら…どこに連れて行かれるかわかったもんじゃない…。
吉乃…。
わしは…遊びにこの世界にやってきた訳ではない…。
そなたと夫婦の真似事をしたくて…ここに来たわけでもないのだけはわかってほしい…。
わしは…。
――そなたと…ともに生き…ともに昔見る事が出来なかった夢を果たしにきたのじゃ…。
だから…。
誰にも邪魔させぬ…。
例え…この場所で槍も刀も火縄銃がなく戦う事になったとしても…お主と生きるために…何があっても守りぬく…。
わしは…うつけでそなたからすれば…子供のような戯れ言かも知れぬが…わしはそなたと一緒にいたい…。
ただそれだけじゃ…。
それだけじゃ…そなたは…不服か?」

