「えっ…?
扇…?」
突然小道具の要求をされて…思わずカメラから目を離した羽柴さんも不思議顔で尋ねた。
すかさず濃君が徳家くんに目で合図して後ろのポケットに手を当てると…徳家くんも深く頷き扇を殿に手渡した。
「これ…使って下さい。」
差し出された扇に殿は‥深く頷き悪戯に微笑むと扇を受け取った。
「うむ…。
かたじけない…。
」
徳家くんから扇を受け取りご満悦に…突然得意の敦盛の舞を披露し始めたその様子に周囲も驚いた様子だったけど‥慌ててシャッターを切り始めた。
「夢…幻のごとくなり…。」
最後の決めのポーズと共にフラッシュが殿の姿を捉え…やがてそれと同時に撮影所に拍手喝采が飛び交った。
「…なんだか…わからないけど…上手くいったみたいだ…(泣)」
拍子抜けした諷馬がヤレヤレといった感じでうなだれた。
「まだまだ…。
最後のあと一枚だよ…。
ねっ…濃君…!」
私の言葉に深く頷いた濃君は‥ゆっくり殿のそばに歩いてくその姿に…再び羽柴さんも大声で…。
「じゃあ…ラスト…!
はーい!!
そのままのフリーな決めポーズで‥!」
カシャ‥!?
二人を包むフラッシュの光と…カメラのシャッターを聞る音が響き渡った。

