『武士ドルが斬る!?』〈前編〉



―3―


 愛の運転で目的地の撮影所近くの立体駐車場に車を止めた私達は…ひとまず腹ごしらえでもして時間を潰すためランチへと繰り出した。



 ―――ゴオッ…!?



 パーキングを出た私達の前に…排気ガスを吹き上げながら車がところ狭しと駆け抜ける中を…しきる信号機に誘導され青信号とともに一斉に横断歩道が人の群れで埋め尽くされていく様子を目の当たりにした。



 「私…。
 スクランブル交差点って嫌いだわ…!」


 肩をぶつけあいながら私達も進むその群れの中で…殿は大丈夫かと探していたすぐ近くで強く手を握られた。



 「殿…。」



 「大丈夫か…?」



 私が心配していたにも関わらず…群の中でも平然と歩き私の手を掴んだ殿に尋ねられ赤面した。



 「大丈夫です。
 はぐれてしまったと思いました。」



 殿の手を握り返して私はホッと一息ついて微笑んだ。



 「こんな人混みなんぞ…!
 戦場に比べれば…可愛いものじゃ…!」


 私の手を握り返してあどけなく笑ったその姿に思わず胸がキュンと疼いた。