『ねえ様を責める為に…濃は申し上げたのではございませぬ!
だいたい殿には…期が熟すという時期が多すぎまする!
思い立ったら…吉日のように…行動に移してよい事と悪い事くらい時と場所をわきまえてほしいと思うからこそ腹がたちまする!』
いつものように殿に対して厳しい事を電話口で怒るその様子が…濃姫らしく思えてきてなんだかホッと一息をついた。
そんな様子を悟ったのか濃姫も“ふう…”と一呼吸置いて語調を弱めて言葉を繋げた。
『ですが…ねえ様。
…今から申す事はこの濃の戯言として聞いて下さいまし…。
信じられぬかもしれませぬが‥あの殿がねえ様が亡くなれた時…3日3晩一生分の涙を流したのではと思うほど…人目も忍び泣き崩れた事がございました。
私は‥今でも鮮明に覚えておりまする‥。
あの時ほど……ああ‥このうつけ者を支えていたのは――ねえ様だったのだと思ったものでした。
ですから今回‥生駒のねえ様とこんな形でも‥殿の想いが叶った事濃はホントにうれしゅうございますわ。
…ですから今回の事は殿がそちらに行く事を止める事ができませんでした。
殿がねえ様に会えば…そんな事になるだろうとはわかっていた筈なのに…。』

