天井が歪んで見えた。
「会いたいよ…。
殿………………。」
懐かしい“敦盛”のフレーズに気がつけば…涙を浮かべて殿を偲んだ。
殿が戦場にいるときも‥胸が張り裂けそうな時には‥“敦盛”を1人舞い願掛けした事もあった。
戦から戻ってきた殿は‥まっさきに生駒の屋敷を訪ねてくれた時だけが何よりの至福の瞬間〈トキ〉だった‥。
京都から帰ってきてから‥吉乃の夢はより鮮明になってきてるように思える。
ママのいう通り‥徳家君だったら毎日‥会えるのにな‥。
でも‥。
徳家君に恋愛感情はもてない‥って言わなきゃと思うけど“まあまあ‥”と制されて結局気持ちは伝えられないままだ。
二股かけてる訳じゃないのに‥罪悪感に苛まれるのは、やはり私の心が吉乃として目覚めているからなのだろうか‥。
様々な思いに胸を締め付けられ‥再び視界が涙で潤んだ。
―――タンッ‥。
「!!!」
わりきれない現実に哀愁を抱えながら潤んだ涙を拭ったタイミングで外から聞き慣れない妙な男が聞こえてきた。
「なんだろう‥!!」
不思議な音に違和感を感じて‥私はベッドから身を起こして二階の窓から外を見た。

